10月の上旬、7日の夜に降り始めた秋の冷たい雨はなかなかやまず、結局10日の夜まで降り続けました。そんな中、蝶たちはどうしているだろうかと、普段は滅多に撮影に出ない雨の中、カメラとLEDリングライトを持って家の近くの公園を覗いてみました。
◆10月10日
ヤマトシジミが夜過ごすことを好む低木を覗いてみると、いました。
小さな葉の影にぶら下がって、器用に雨宿りしています。
傷みはありますが、丸3日以上降り続く雨の中頑張っている姿に、ちょっと感動します。
こちらは結構新鮮な個体です。
覚醒しており、濡れた枝の上で居心地が悪いのか、何度も姿勢を変えていました。
突然足元から飛び出しました。
縁毛も綺麗に揃った羽化直個体です。雨が続く中羽化しちゃったんでしょうか。
ちなみに、カメラはいつものD500、レンズは珍しくAI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8Dを持ち出しました。この旧60Microは、AF速度や逆光耐性こそ現行品に負けるでしょうが、画質では負けてないんですね。今回のような殆ど動かない蝶を撮るには、被写界深度やシャープさを考えると最高の1本かもしれません。
そうそう、MFの55Microは初代から最終のAi-Sまで7本、そしてAFの60Microも持っているMicro好きな私ですが、1986-1989年の間のみ製造されたAF Micro Nikkor 55mm f/2.8は持っていません。これがAi-Sの光学系そのままで非常に良いレンズらしいので、いつか入手したいものです。
さて、続きです。
◆10月11日
翌日、やっと雨が上がり、時折日差しが差すコンディションだったので、同じ公園に行ってみました。
目にしたのは、乱舞するヤマトシジミ達でした。
こんなにたくさんどこに隠れていたんだと思う数のヤマトシジミ達が、飛び回り、日光浴をし、そして吸蜜していました。新鮮な個体が多かったので、当日羽化した個体も結構いたのかもしれません。
「やっと雨が上がって良かったなぁ。」
そう思いながら公園内のヤマトシジミ・ポイントを巡回すると、葉の間で動かないヤマトシジミを見つけました。
脚が葉に着いておらず、複眼が黒ずんでいます。
どうやら長雨に耐えられず逝ってしまったようです。
帰宅後現像していて気が付いたのですが、この子は前日撮影した子でした。
気温はそこまで低くなかった(最低気温15℃前後)ので、食事が出来なかったのが死因なのでしょうか。羽化から日数が過ぎて体力の落ちた固体には、厳しい長雨だったのかもしれませんね。
その後もう1頭の亡骸を見つけました。
こちらは完全に複眼が黒くなり、骸骨の落ち窪んだ眼窩を思わせる雰囲気がありますが、葉っぱのベッドの上で眠るように逝っていました。
普段、捕食された姿を見ることはあっても、自然死した蝶の亡骸を見ることはほとんどなく、非常に印象的でした。ヤマトシジミが死ぬと複眼が黒くなる?のも初めて知りました。
この日撮ったその他の写真です。
本当は10日分を「雨ニモマケズ」というタイトルで書こうと思っていたのですが、よりによって撮影した個体が息絶えているのを見つけてしまったため、こういう形にしました。
彼らには「良く頑張った。」と言ってやりたいです。
機材:
NIKON D500
AI AF Micro-Nikkor 60mm f/2.8D
雨中のヤマトシジミ観察なかなか出来ません。
すごいですね。長い雨に耐えきれずに命を落
としてしまうヤマトもいて、何か切なくなります。
普段まったく気づきませんがこれが生物界の
日常なのでしょうね。いい視点の蝶観察を拝
見させて頂きました。
Farfallaさん、ありがとうございます。
E-M1みたいな防水仕様ではないので、傘で雨を凌ぎながらの撮影はちょっとしんどかったですし、雨粒が落ちる様子をフレームに取り込みたいと思ったのですが上手くいきませんでした。
小さなヤマトシジミ達が懸命に生きる様子を、姿が見られる内は頑張って追いかけたいです。